収録が終わると、次は編集です。「録った音をそのまま出すのは不安。でも、編集で何をすればいいのか分からない」という声をよく聞きます。
この記事では、ポッドキャストの編集でやることを順番に整理し、無料のソフトでできること と、私たちが時間をかけているところ を紹介します。
この記事を書いた人
私たちTAIDAN(運営:LutenWorks)は、企業・団体のポッドキャストとビデオポッドキャストの収録・編集・配信を代行しています。イベントの映像・音響の現場で9年目、映像制作で5年以上の経験があります。
編集でやることの全体像
ポッドキャストの編集は、大きく6つの作業に分かれます。
| 順番 | 作業 | やること |
|---|---|---|
| 1 | 素材の整理 | 録ったファイルを並べる。ビデオなら映像と音のタイミングを合わせる |
| 2 | カット | 言い直し、長い沈黙、本題に関係のない話を切る |
| 3 | 音の調整 | 声の大きさをそろえる。雑音を減らす |
| 4 | 音量合わせ | 番組全体の聞こえる大きさを、配信の目安に合わせる |
| 5 | 音楽・オープニング | オープニングやエンディングの音楽、ジングル(区切りの短い音)を入れる |
| 6 | 書き出し | 配信用のファイル(音声ならMP3など)にする |
全部を完璧にやる必要はありません。最初は「2 カット」と「3 音の調整」をていねいにやるだけでも、聞きやすさは大きく変わります。
無料の編集ソフトでできること
音声だけの番組なら、無料のソフトでも一通りの編集ができます。
- Audacity(オーダシティ):Windows・Mac・Linuxで使える無料の音声編集ソフト。カット、音量の調整、雑音の処理など、基本の作業がそろっています
- GarageBand(ガレージバンド):Macに入っている音楽・音声の制作ソフト。複数のトラックを並べて編集できます
どちらも、カットや音量の調整のような基本の作業は十分にできます。一方で、無料か有料かよりも差が出るのは、どこを切るか、どのくらい整えるかの判断 です。ここは、ソフトではなく経験で決まる部分です。
ビデオポッドキャストでは、映像を扱える編集ソフトが必要です。カメラが複数台なら、複数の映像を並べて切り替えられるソフトを選びます。
編集の手順を、ひとつずつ
1. 素材の整理:まず、全部を並べる
録ったファイルを編集ソフトに読み込み、並べます。2人以上で録ったときは、マイクごとのファイルを上下に並べ、頭の位置をそろえます。
ビデオポッドキャストでは、カメラの映像と、マイクで別に録った音のタイミングを合わせる作業がここに入ります。カメラが増えるほど、合わせる素材も増えます。
2. カット:聞く人の時間を大切にする
- 言い直しや、言葉が出てこなかった部分
- 長い沈黙
- 本題から外れた話、社内の事情で出せない話
切りすぎると、会話のテンポが不自然になります。相づちや笑い声は、会話の空気を伝える大事な音です。「聞く人がつまずくところ」だけを切る と考えると、判断しやすくなります。
3. 音の調整:声の大きさと雑音
人によって声の大きさは違います。そのままだと、聞く人は小さい声に合わせて音量を上げ、大きい声で驚くことになります。出演者ごとに声の大きさをそろえます。
雑音を減らす処理(ノイズ除去)も、ソフトでできます。ただし、強くかけすぎると声がこもったり、水の中のような音になったりします。少しずつかけて、声の自然さが残るところで止めるのがコツです。
4. 音量合わせ:配信の目安に合わせる
番組全体の「聞こえる大きさ」も整えます。Apple Podcastsは、ラウドネス(人の耳に聞こえる大きさの指標)を -16 LKFS 前後(±1dB)、ピークは -1dBFS 以下 にそろえることを推奨しています。
ほかの番組と続けて聞いたときに、自分たちの番組だけ小さい・大きいということを防げます。
5. 音楽・オープニング
オープニングやエンディングに音楽を入れると、番組らしさが出ます。使う音楽は、ポッドキャストで使ってよい許諾があるもの を選んでください。フリー素材でも、利用条件に「配信での利用」や「クレジット表記」の決まりがあることがあります。
6. 書き出し
最後に、配信用のファイルに書き出します。書き出したら、最初から最後まで一度通して聞く ことをおすすめします。切り忘れや、音が急に大きくなるところは、通して聞いて初めて気づくことが多いからです。
書き出したファイルを配信する手順は「Spotify for Creatorsの使い方|ポッドキャストを配信・投稿する手順」で紹介しています。
録り方で、編集の手間は大きく変わる
編集で直せることには限りがあります。編集の手間を減らすいちばんの近道は、録る段階で整えておくこと です。
1人1トラックで録ると、編集が楽になる
マイクごとに別々のファイル(トラック)で録っておくと、片方の声だけを大きくする、話していない人のマイクの雑音だけを下げる、といった調整ができます。1本のファイルにまとめて録ると、この調整ができません。
編集では直しにくい音
- エアコンや換気扇の音:声と同時に鳴り続けるので、消そうとすると声も一緒に削れます
- 部屋の響き:壁やガラスの多い会議室では、声に響きが残ります。響きの量が場所ごとに違うと、カットした前後で音がつながりにくくなります
- 声の重なり:2人が同時に話した部分は、片方だけを切り取るのが難しくなります
録る前の対策は「ポッドキャストの録音方法|会議室で対談をきれいに録る7つのコツ」で紹介しています。
プロの目線から
以前、会議室で収録した動画の編集で、カットをつないだところだけ部屋の響きが変わって聞こえ、自然につながらなかったことがあります。2本のマイクの音が1つにまざって録れてしまい、声を別々に直せなかったこともあります。どちらも、編集では取り戻せませんでした。いまは、マイクを1人1本ずつ用意して1人1トラックで録り、収録の前に部屋の響きと空調の音を確かめています。
ビデオポッドキャストの編集で増える作業
ビデオポッドキャストでは、音声の編集に加えて、映像の作業が増えます。
- 映像と音のタイミング合わせ(カメラの台数ぶん)
- 画の切り替え:話している人の表情が見えるように、カメラを切り替える
- テロップ(画面に出す文字)や、オープニングの映像
- 配信先ごとの書き出し:音声版と映像版を分けて用意することもある
ビデオポッドキャストそのものについては「ビデオポッドキャストとは?音声との違い・始め方・必要な機材」でまとめています。
プロの目線から
ビデオポッドキャストは、カメラ3台で撮影しています。20分ほどの回の基本の編集(タイミング合わせ、カット、画の切り替え、音の調整)で、だいたい2時間です。オープニングの映像を凝ったものにすると、さらに3時間ほどかかります。1回の収録ぶんでも、編集はまとまった時間が必要です。
編集にかかる時間の目安
社内の担当者が30分ほどの対談番組を1本作る場合、編集にかかる時間は 2〜4時間が目安 です。慣れないうちは、操作を調べながらになるので、もっとかかることもあります。
企画・出演者の調整・収録・公開まで含めた全体の流れと時間は「ポッドキャストの始め方【企業・個人向け】企画から配信まで7つのステップ」で紹介しています。
毎週・隔週で続けると、この時間が回数ぶん積み重なります。自分たちで編集するか、外に任せるかを考えるときは「ポッドキャスト制作を外注する費用の相場は?自社で作る場合との比較」も参考にしてください。
まとめ
- 編集は 素材の整理・カット・音の調整・音量合わせ・音楽・書き出し の6つ
- 基本の作業は、無料のソフト(Audacity、GarageBandなど)でもできる。差が出るのは、どこを切り、どこまで整えるかの判断
- 音量は、Apple Podcastsの推奨 -16 LKFS 前後 を目安にそろえる
- 1人1トラックで録る と、編集で調整できることが増える
- エアコンの音や部屋の響きは、編集では直しにくい。録る前に対策する
- ビデオでは、タイミング合わせと画の切り替えで、作業がさらに増える
編集は、番組の聞きやすさを決める大切な作業です。一方で、回を重ねるほど時間がかかる作業でもあります。続けられる形を、最初に考えておきましょう。
編集まで任せたいときは、TAIDANへ
TAIDANは、企業・団体のポッドキャストとビデオポッドキャストの制作を代行しています。
- 収録から編集・配信まで、まとめて対応。1人1トラックで録り、声の大きさや雑音を整えて仕上げます
- 機材を持って、会議室やオフィスへ出張収録(スタジオは不要、全国へ伺います。出張費・会場費は別途)。部屋の響きや空調の音も、その場で対策します
- 料金は、音声 単発 80,000円〜、ビデオ 単発 120,000円〜(税別・機材費込み)。継続のプランは月4本です
ご相談のあと、番組企画のたたき台を無料でお送りします。